「今日の夕食、何がいい?」「次の休み、どこに行く?」といった日常の何気ない会話で、相手から「どっちでもいいよ」と返されて、どう対応すべきか困ってしまった経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。
良かれと思って意見を求めたのに、はっきりしない答えが返ってくると、少し腹立つ気持ちになったり、時には「自分との時間はどうでもいいのかな」と寂しく感じたりすることもあります。何度も聞き返して気まずい空気が流れたり、結局自分が決めたことに対して後から不満を言われたりすれば、徒労感は増すばかりです。
実は、「どっちでもいい」というたった一言の裏には、相手を心から思いやる気持ちから、単純な無関心、さらには複雑な駆け引きまで、実に様々な男女の心理が隠されています。恋愛においては、この言葉が脈なしのサインではないかと不安になることもあるでしょう。また、会社や家族との間では、この返答が繰り返されることでコミュニケーションに溝が生まれ、関係がぎこちなくなることさえあります。
この記事では、「どっちでもいいと言う人」が抱える男女それぞれの心理を、様々な角度から深く掘り下げていきます。そして、相手を不快にさせることなく、むしろ関係性をより良くするためのスマートな答え方を、具体的な状況別に詳しく解説します。この記事を最後まで読めば、円滑な人間関係を築くための、どっちでもいいと言われた時の盤石な対処法が身につくはずです
【この記事で分かること】
- 「どっちでもいい」と言う人の隠された心理
- 男女別・状況別の本音と意図の違い
- 相手を不快にさせないスマートな返し方
- 関係性を損なわないための具体的な対処法
「どっちでもいいよ」への上手な返し方と隠された心理
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「どっちでもいいよ」と言う人の心理とは
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「どっちでもいいよ」の男性心理と本音
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女性が言う「どっちでもいい」の本音とは
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「どっちでもいい」に腹立つのはなぜ?
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決められないのは優柔不断だから?
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恋愛における「どっちでもいい」は脈なし?
「どっちでもいいよ」と言う人の心理とは
「どっちでもいいよ」という返答は、一見すると投げやりに聞こえがちですが、その背景には驚くほど多様な心理が隠されています。相手の言葉の真意を正しく理解することが、すれ違いを防ぎ、適切なコミュニケーションをとるための最初の、そして最も重要なステップとなります。
相手を尊重する「配慮」の心理
まず考えられるのは、純粋に相手への配慮や優しさから来ているケースです。自分の意見や好みを主張するよりも、「あなたの好きなものを選んでほしい」「あなたが喜ぶ顔が見たい」という気持ちが強く、あえて判断を相手に委ねているのです。
特に、自己主張をすることで相手に気を遣わせてしまうことを避けたいと考える人は、この傾向があります。これはポジティブな意味合いでの「どっちでもいい」であり、相手への思いやりの表れと言えます。
責任を回避したい「防衛」の心理
次に、意思決定に伴う責任から逃れたいという、自己防衛的な心理も大きく影響します。何かを「決める」という行為には、その結果に対する責任が必ず伴います。
過去に、自分が選んだお店が美味しくなかったり、企画した旅行がうまくいかなかったりして、他人から非難されたり、がっかりされたりした経験があると、「決めること=リスク」と学習してしまいます。そのため、再び失敗して責任を負うことを恐れ、「どっちでもいい」と言って判断を他者に委ね、安全地帯にいたいと考えるのです。
選択肢が多すぎる「決定疲れ」の心理
現代社会特有の心理として、「決定疲れ(ディシジョン・ファティーグ)」も挙げられます。私たちは日々、仕事からプライベートまで、無数の選択を迫られています。朝食のメニューから着ていく服、仕事の優先順位、夜に見る動画まで、小さな決断の積み重ねで脳は疲弊していきます。
このような状態でさらに選択を求められると、脳がエネルギーを節約しようとして、「もう考えたくない」「どっちでもいい」という思考停止の状態に陥ってしまうのです。
興味・関心が全くない「無関心」の心理
もちろん、最も分かりやすい理由として、聞かれた事柄に対して本当に興味がないという場合も少なくありません。この場合の「どっちでもいい」は、ほぼ「どうでもいい」と同義です。
例えば、インテリアに全く興味がない人にカーテンの色について聞いても、真剣に考えること自体が苦痛に感じられます。興味の対象外のことについては、思考のリソースを割きたくないという、ある意味で合理的な判断が働いている状態です。
「どっちでもいいよ」の男性心理と本音
男性が「どっちでもいいよ」と言う際には、女性からすると理解しがたい、特有の思考パターンや心理が働いていることが多々あります。その本音を知ることで、不要な誤解や衝突を避けることができるでしょう。
「君の好きなように」は優しさの表現
男性の中には、自分の意見を押し付けるよりも、女性の希望を叶えてあげることこそが優しさであり、愛情表現だと考えている人がいます。
特に好意を持つ相手に対しては、「彼女の笑顔が見たい」「彼女の行きたい場所に行きたい」という気持ちが強くなるため、自らの希望を一旦脇に置き、「どっちでもいいよ(=君の好きな方を選んでいいよ)」と返答します。これは、相手を尊重し、決定権を委ねることで、自分の度量の大きさを示そうとする心理の表れでもあります。
「失敗したくない」というプライドと責任回避
前述の責任回避の心理は、男性の場合、プライドと密接に結びついていることがあります。男性は「リードしたい」「頼りがいがあると思われたい」という願望を持つ一方で、「決断で失敗して、がっかりされたくない」「センスがないと思われたくない」という強い恐怖心も抱えています。
この二つの感情の狭間で葛藤した結果、最も安全な選択肢として「どっちでもいい」を選び、判断を相手に委ねることで、失敗のリスクとプライドが傷つく可能性の両方を回避しようとするのです。
結論を急ぐ「問題解決型」の思考
一般的に、男性は会話において共感よりも結論や問題解決を重視する傾向があります。例えば、「どこで食事をするか」という議題に対して、女性が「一緒に悩むプロセス」を楽しみたいのに対し、男性は「店を決める」というタスクを効率的に完了させたいと考えがちです。
そのため、すぐに良い答えが見つからない場合や、議題そのものへの関心が低い場合には、思考をショートカットするために「どっちでもいい」と言ってしまうことがあります。これは、会話を軽んじているわけではなく、単に思考のプロセスが異なることに起因します。
女性が言う「どっちでもいい」の本音とは
一方で、女性が「どっちでもいい」と口にする時、その言葉には男性が想像する以上に複雑で、繊細な本音が隠されていることが少なくありません。言葉そのものを額面通りに受け取ってしまうと、知らず知らずのうちに相手を傷つけたり、がっかりさせたりする原因になりかねません。
「私の気持ち、分かってくれる?」という期待と共感の要求
女性の「どっちでもいい」の裏にある最も代表的な本音は、「私の気持ちを察してほしい」という期待です。多くの場合、彼女の中ではすでにある程度の希望や答えが存在します。
例えば、「パスタと中華どっちがいい?」と聞かれて「どっちでもいいよ」と答える時、その本心は「本当はパスタが食べたい気分だけど、あなたも同じ気持ちだと嬉しいな。私の好みを分かってくれているなら、パスタを提案してくれるはず」といった具合です。
これは、相手の理解度や愛情を測る一種の「テスト」としての側面も持っており、結論そのものよりも、自分の気持ちに寄り添ってくれるかという「共感」を求めているのです。
「一緒に悩む時間」を大切にしたい
女性にとって、コミュニケーションは結論を出すためだけのツールではありません。特に親しい間柄においては、一つの物事を決めるまでの「プロセス」そのものを共有し、楽しみたいと考えています。
レストラン選びを例にとれば、すぐにお店を決めることよりも、「こっちは雰囲気が良さそう」「でも、あっちのメニューも捨てがたいね」などと、二人であれこれ話し合い、一緒に悩む時間にこそ価値を感じるのです。
このような時に、相手が即座に「じゃあ、ここで」と決めてしまったり、「どっちでもいい」と議論を放棄したりすると、コミュニケーションの機会を奪われたように感じ、寂しさを覚えてしまいます。
相手への配慮と関係性への気遣い
もちろん、純粋に相手への配慮から「どっちでもいい」と言うケースもあります。「わがままな人だと思われたくない」「自分の意見を押し付けて、相手に我慢させたくない」という気持ちから、相手の意向を優先しようとするのです。
これは、相手との良好な関係性を維持したいという気遣いの表れです。ただし、この場合でも、内心ではどちらか一方に傾いていることも多いため、「本当にどっちでも大丈夫?遠慮しないで言ってね」といった、相手の本音を引き出すような一言が効果的です。
「どっちでもいい」に腹立つのはなぜ?
「どっちでもいい」という返答に、思わずカチンときたり、どっと疲れを感じたりするのは、決してあなたが短気だからではありません。この言葉には、質問者の善意や労力を無下にしてしまう要素が含まれているため、不快に感じるのはごく自然な反応なのです。
思考の放棄と責任の丸投げ感
腹が立つ最大の理由は、やはり「考えることを放棄し、責任を丸投げされた」と感じるからでしょう。質問者は、相手に喜んでもらいたい、相手の意見を尊重したいというポジティブな動機から質問をしています。
その思いやりに対して「どっちでもいい」と返されると、その善意を踏みにじられ、面倒な判断をすべてこちらに押し付けられたような気分になります。これは、精神的に大きな負担となります。
コミュニケーションの拒絶と疎外感
会話は、言葉のキャッチボールによって成り立ちます。質問というボールを投げたのに、「どっちでもいい」という言葉で壁を作られ、ボールを投げ返してもらえない状態は、コミュニケーションを一方的に拒絶されたのと同じです。
これにより、「自分との会話は無価値なのか」「この人は自分に関心がないんだ」という疎外感や孤独感を覚え、悲しい気持ちになります。特に、何度もこのやり取りが続くと、相手に質問すること自体が億劫になってしまいます。
期待の裏切りと関係性への不安
「きっと一緒に考えてくれるはず」「この時間を楽しんでくれるはず」といった、相手へのポジティブな期待があるからこそ、「どっちでもいい」という無関心に聞こえる返答は、その期待を裏切る行為となります。
特に、二人の将来に関わるような重要な話や、楽しみにしていたデートの計画などでこの言葉を言われると、「この人は私たちの関係を真剣に考えていないのではないか」という深刻な不安につながるのです。
決められないのは優柔不断だから?
「どっちでもいい」を連発する人を見ると、つい「優柔不断な人だ」と単純に結論づけてしまいがちです。しかし、人が何かを「決められない」背景には、単なる性格の問題だけでは片付けられない、より複雑で根深い要因が絡んでいることがあります。
「選択肢のパラドックス」による混乱
心理学には「選択肢のパラドックス」という考え方があります。これは、選択肢が多すぎると、人はかえって選ぶことが困難になり、たとえ何かを選んだとしても、その選択に対する満足度が低下してしまうという現象です。
例えば、「好きなレストランを選んでいいよ」と言われるよりも、「雰囲気の良いイタリアンと、コスパの良い中華、どっちがいい?」と聞かれた方が、はるかに決めやすくなります。「どっちでもいい」という言葉は、多すぎる選択肢の前に思考がフリーズしてしまった結果である可能性もあるのです。
失敗を極度に恐れる完璧主義
完璧主義な性格の人もまた、決断を下すのが苦手な傾向にあります。「どうせ選ぶなら、絶対に失敗したくない」「100点満点の最高の選択をしなければならない」というプレッシャーを自らに課しているため、少しでも欠点のある選択肢や、結果が不確かな選択肢を切り捨てることができません。
すべての選択肢を吟味し、完璧な答えを探し求めるあまり、結局何も選べなくなり、「(完璧なものがないから)どっちでもいい」という結論に至ってしまうのです。
自己肯定感の低さと自信のなさ
前述の通り、自分の判断に自信が持てないことも、決められない大きな原因の一つです。これは自己肯定感の低さと直結しています。
「自分が選んだら、相手をがっかりさせてしまうかもしれない」「自分の選択は、どうせ間違っているに違いない」といったネガティブな自己認識が、意見を表明することへの強いブレーキとなります。相手に判断を委ねることで、自分の選択が否定されるリスクから逃れようとしている、自己防衛の現れと言えるでしょう。
恋愛における「どっちでもいい」は脈なし?
恋愛関係において、パートナーから「どっちでもいい」と言われると、「もしかして気持ちが冷めた?」「私のこと、もう好きじゃないの?」と、心穏やかではいられなくなるものです。この言葉が脈ありのサインなのか、それとも脈なしの危険信号なのかは、その言葉が発せられた状況や相手の態度を総合的に見て、慎重に見極める必要があります。
脈あり・脈なしを見極める比較表
脈ありか脈なしかを判断するには、言葉そのものだけでなく、非言語的なサインや会話の文脈を注意深く観察することが極めて大切です。以下の表を参考に、相手の真意を探るヒントにしてみてください。
付き合いの長さによる意味の変化
「どっちでもいい」という言葉の意味は、二人の関係性のステージによっても変化します。 付き合いたての頃の「どっちでもいい」は、相手に嫌われたくないという気持ちや、相手を優先したいという健気な配慮の表れであることが多いでしょう。
しかし、付き合いが長くなり、関係が安定期に入ってからの「どっちでもいい」は、単なる慣れや安心感から来るものかもしれませんし、場合によっては関係のマンネリ化や、相手への関心が薄れているサインである可能性も否定できません。もし、以前に比べて「どっちでもいい」の頻度が増え、そこに思いやりが感じられなくなった場合は、二人の関係について一度ゆっくりと話し合う良い機会かもしれません。
状況で使い分ける「どっちでもいいよ」への上手な返し方
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「どっちでもいいと言う人」へのうまい返し方
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家族間の「どっちでもいい」を回避する方法
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会社で言われた時のスマートな対応
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困った時の「どっちでもいい時」の答え方
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「どっちでもいいよ」の返し方と円満な対処法
「どっちでもいいと言う人」へのうまい返し方
「どっちでもいい」が口癖の相手に対して、毎回あなたが折れていては、いずれ関係に歪みが生じてしまいます。相手を責めることなく、かつ自分のストレスも溜めない、建設的な返し方のスキルを身につけましょう。相手のタイプや状況に合わせて使い分けるのがポイントです。
【初級編】ポジティブに主導権を握る返し方
最も手軽で即効性があるのは、こちらが明るく主導権を握ってしまう方法です。 「そっか、どっちでもいいなら、今回は私が決めちゃうね!気に入ってくれるといいな」 このように、笑顔で宣言することで、「丸投げされた」というネガティブな空気を一掃し、場の雰囲気をポジティブに転換できます。
さらに、「次は〇〇君のオススメのお店に連れてってね!」と付け加えれば、次回の意思決定を相手に優しく促す布石にもなります。この返し方のコツは、決して不満そうな態度を見せず、あくまで楽しんで決めているという姿勢を示すことです。
【中級編】相手の思考を促す質問術
少し踏み込んで、相手に考えさせるきっかけを与えたい場合は、質問の仕方を工夫してみましょう。 「どっちでもいいってことは、嫌いな方はないってことだよね?じゃあ、AとB、どっちの方が『より』好き?」 「もし、今日が人生最後の日だとしたら、どっちを選ぶ?」 少し大げさな質問や、視点を変える質問を投げかけることで、相手はゲーム感覚で思考を巡らせるようになります。
また、「何か決めるヒントになるような、キーワードだけでも教えてくれる?」と、判断材料を求めるのも有効です。このアプローチは、相手の意見を引き出し、一緒に決めるプロセスを作り出すことを目的としています。
【上級編】根本解決を目指すオープンな対話
もし相手が非常に身近なパートナーであり、この問題が二人の関係に影響を与えていると感じるなら、一度じっくりと話し合う時間を持つのも一つの手です。
「いつも私の意見を尊重してくれてありがとう。でもね、時々あなたの本当の気持ちが知りたくなって、少し寂しくなることがあるんだ。もし決めにくい理由があったら、気にせず教えてほしいな。一緒に考えたいから」 このように、まずは相手への感謝を伝え、I(アイ)メッセージ(私はこう感じる)で自分の気持ちを正直に伝えます。
相手を非難するのではなく、あくまで「二人の問題」として一緒に解決したいという姿勢を見せることで、相手も心を開きやすくなります。これは時間と勇気が必要ですが、関係性をより深めるための最も誠実なアプローチと言えるでしょう。
家族間の「どっちでもいい」を回避する方法
夫婦や親子といった、甘えや慣れが生じやすい家族の間では、「どっちでもいい」問題が特に深刻化しがちです。毎日の小さなすれ違いが、やがて大きな不満の火種にならないよう、家庭内でのコミュニケーションルールを見直してみましょう。
食事メニューでの攻防をなくす工夫
最も頻発するのが、毎日の食事メニューに関するやり取りです。「今日の夕食、何がいい?」「どっちでもいい」の不毛なループを断ち切るには、質問の仕方を変えるのが鉄則です。
「肉と魚、どっち?」「和食と洋食、どっちの気分?」と具体的な二択で聞くだけで、相手の負担は格段に減ります。 さらに効果的なのは、一週間のメニューの選択肢(例:カレー、ハンバーグ、生姜焼き、焼き魚、パスタ)を提示し、その中から曜日ごとに選んでもらうシステムです。
これなら考える手間が省け、作る側も計画的に買い物ができます。最終手段として、「今日は〇〇を作るね」と宣言制にしてしまうのも、日々のストレスを減らす賢い方法です。
旅行先や大きな買い物の決め方
旅行の計画や、家具・家電の購入といった、家族にとっての大きな決断の場面でも「どっちでもいい」は問題になります。このような場合は、「思考のプロセスを共有する」ことが鍵となります。
例えば、旅行先の候補が二つあるなら、「Aは移動が楽だけど費用が高い。Bは少し遠いけどアクティビティが充実している」というように、それぞれのメリット・デメリットを紙に書き出してみましょう。
そして、家族それぞれが何を重視するのか(費用、時間、楽しさなど)を話し合います。このプロセスを経ることで、誰もが納得感のある結論に至りやすくなり、「どっちでもいい」と言いづらい状況を作り出すことができます。
会社で言われた時のスマートな対応
ビジネスシーンにおける「どっちでもいいよ」は、プライベートな場面とは全く意味合いが異なり、対応を間違えると自分の評価や仕事の進行に直接影響を及ぼす可能性があります。相手の役職や意図を正確に読み取り、プロフェッショナルとして的確に対応することが求められます。
上司からの「どっちでもいい」は意図の確認が必須
上司からこの言葉が出た場合、いくつかの意図が考えられます。一つは、部下の主体性や判断力を試すために、あえて裁量を与えているケース。もう一つは、単に忙しくて詳細を検討する時間がないか、案件への関心が薄いケースです。
どちらの場合でも、自分の判断だけで進めるのは危険です。まずは、「ご判断いただきありがとうございます。では、A案で進めさせていただきたく存じますが、最終的にご承認いただけますでしょうか」と、自分の意見を述べた上で、承認という形で責任の所在を明確にするのが賢明です。
また、「恐れ入ります、1点だけご確認させてください。今回はスピードとクオリティ、どちらをより重視すべきでしょうか?」というように、判断の拠り所となる「基準」を尋ねるのも極めて有効な手段です。これにより、上司の思考を促し、より的確な指示を引き出すことができます。
会議やチームでの「どっちでもいい」への対処法
会議の場で、複数のメンバーから「どっちでもいい」という意見が続出すると、議論が停滞してしまいます。このような時は、ファシリテーターとしての役割を担うことが解決の糸口になります。
「皆さん、どちらの案にも一長一短があり、決めかねている状況かと存じます。一度、両案のメリット・デメリットと、それに伴うリスクをホワイトボードに書き出して、情報を整理しませんか?」 このように提案し、議論を「見える化」することで、各メンバーは漠然とした感覚ではなく、具体的な情報に基づいて判断を下せるようになります。
また、「〇〇さんはコスト面から、△△さんは運用面から、ご意見をいただけますか?」と、特定の視点を指定して意見を求めることで、発言を促すことも可能です。
困った時の「どっちでもいい時」の答え方
これまでは「言われた側」の対処法を考えてきましたが、誰しも自分が「どっちでもいい」と答えたい場面に直面します。この便利な言葉をそのまま使ってしまうと、相手に無関心、無責任といったネガティブな印象を与えかねません。相手との良好な関係を維持するために、思いやりの伝わる上手な言い換え表現をマスターしておきましょう。
ポジティブな理由を添えて相手に委ねる
相手の意見を尊重したい、というポジティブな意図がある場合は、それをきちんと伝えることが大切です。
「どちらの案も本当に魅力的だから、ぜひ〇〇さんの好きな方を選んでほしいな。その方が私も嬉しいから」 「この分野は、私よりも〇〇さんの方がずっと詳しいから、専門家の意見を聞かせてほしいです。あなたの判断を信頼しています」
このように、「なぜ相手に決めてほしいのか」という理由を具体的に添えるだけで、言葉の印象は劇的に変わります。「あなたを信頼しているから任せたい」というメッセージは、相手の自尊心を満たし、気持ちよく決断させてあげることができます。
自分の状態を正直に、かつ建設的に伝える
本当に決めかねている場合や、少し疲れている場合は、その状態を正直に伝えるのも一つの手です。ただし、ネガティブな伝え方にならないよう注意が必要です。
NG例:「疲れてて考えられないから、どっちでもいい」
OK例:「ごめん、今ちょっと他のことで頭がいっぱいで、冷静に判断できそうにないんだ。少しだけ考える時間をもらってもいいかな?」 また、「どっちも良すぎて決められない!それぞれのメリットをもう一回一緒に整理してみない?」
と、協力をお願いする形で伝えるのも建設的です。自分の状態を素直に開示することで、相手も状況を理解し、サポートしてくれる可能性が高まります。大切なのは、思考を放棄するのではなく、一緒に解決しようとする姿勢を見せることです。
「どっちでもいいよ」の返し方と円満な対処法
この記事では、「どっちでもいいよ」という言葉に隠された多様な心理を解き明かし、恋愛、家族、会社といった様々な状況に応じた具体的な返し方と対処法を詳しく解説してきました。この言葉に振り回されず、むしろ円滑な人間関係を築くための糧とするための要点を、最後にまとめます。
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「どっちでもいい」は無関心だけでなく相手への配慮や自己防衛のサインでもある
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言葉の裏にある相手の真意を探ることが円満な解決への第一歩となる
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男性心理には責任回避やプライド、問題解決型の思考が影響している
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女性心理には共感の要求やプロセス重視のコミュニケーション観が隠れている
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言われた側が腹立たしく感じるのは責任の丸投げやコミュニケーション拒絶と感じるから
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決められない背景には完璧主義や自己肯定感の低さが関係していることもある
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恋愛では態度や文脈を総合的に見て脈あり・脈なしかを慎重に判断する
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「君と一緒なら」という追加の言葉は好意的なサインである可能性が高い
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関係性に関わる重要な話で多用される場合は危険信号かもしれない
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返し方の基本は「じゃあ私が決めるね!」と明るくポジティブに主導権を握ること
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「〇〇と△△どっちがいい?」と具体的な二択で質問すると相手は答えやすい
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根本解決を目指すなら「なぜ決めにくいのか」を優しく尋ねる対話も必要
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会社で上司に言われた際は判断基準を確認するか自分の意見を述べ承認を求める
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会議で議論が停滞した際は情報を「見える化」しファシリテーションに徹する
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自分が言う際は「決めかねている」という正直な気持ちや「あなたを信頼している」というポジティブな理由を添える
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最低限の希望(「辛いもの以外ならどっちでもいい」など)を伝えるのも有効
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家族間ではメニューの選択制や役割分担など事前のルール作りがストレスを減らす
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「思考のプロセス」を共有し一緒に悩む時間を作ることで納得感が生まれる
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「どっちでもいい」という言葉をコミュニケーションのきっかけと捉える
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言葉の意図を汲み取り合い、お互いを理解しようとする姿勢が最も大切