春から新しい環境で精一杯走り続けてきたものの、連休を過ぎたあたりから急に体が重い、あるいは会社に行きたくないと感じていませんか。新入社員のあなたが五月病になって退職を考えるのは、決してあなただけの問題ではありません。
実際に、この時期になると多くの人が仕事を辞めたいという悩みを抱えますし、その理由も人それぞれです。この不調がいつまで続くのか、どうすれば克服できるのか、あるいは誰に相談すべきなのか、不安でいっぱいですよね。
この記事では、2025年の制度改正も含め、新入社員の皆さんが五月病での退職や休職を検討する際に、後悔しないための知識を整理しました。適応障害と診断されるケースや診断書のもらい方、傷病手当金の受給条件、さらには特定理由離職者の認定についても詳しく解説します。第二新卒として再出発するための伝え方も含め、今の苦しい状況を冷静に見つめ、次の一歩を一緒に考えていきましょう。
【この記事で分かること】
- 五月病の正体と無理をせずに専門家へ相談すべき受診の目安
- 休職中に給与の約3分の2が支給される傷病手当金の仕組み
- 2025年4月から変わった失業保険の給付制限期間と受給条件
- 第二新卒として再出発するためのキャリア戦略とポジティブな伝え方
新入社員が五月病で退職を考える前に知るべき兆候と実態

心身の不調を感じると「自分の根性が足りないだけかな」と思いがちですが、実は多くの新入社員が同じ壁にぶつかっています。まずは五月病のリアルな姿を知り、客観的に自分の状態を把握することから始めましょう。
単なる甘えではない五月病の正体と適応障害の診断目安

五月病という言葉は非常に一般的ですが、医学的な正式名称ではありません。精神科や心療内科では、多くの場合「適応障害」や「軽うつ状態」という病名が付けられます。これは「特定のストレス源によって、日常生活に支障をきたすほど心身が反応している状態」を指すもので、決して本人の甘えや努力不足が原因ではありません。新入社員の皆さんは、入社後の1ヶ月間、慣れない仕事や人間関係、そして「早く一人前にならなければ」という強い緊張感の中で過ごしてきました。その張り詰めていた糸が、ゴールデンウィークという長期休暇をきっかけにプツンと切れてしまうのが五月病の正体なんです。
自分がただ疲れているだけなのか、それとも医学的な介入が必要なレベルなのかを判断するのは難しいですよね。一般的に、「2週間以上、ほぼ毎日不調が続いている」場合は、専門家への相談を検討すべきタイミングだと言われています。例えば、これまでは楽しめていた趣味に全く興味が持てなくなったり、休日にしっかり休んだはずなのに月曜日の朝に激しい動悸や吐き気がしたりするのは、脳が「これ以上は無理だよ」とアラートを出している証拠です。放置してしまうと、より深刻な「うつ病」へと進行してしまうリスクもあるため、まずは自分の症状を客観的にチェックしてみてください。
こんなサインは要注意!受診の目安チェックリスト
- 夜ぐっすり眠れない、または夜中に何度も目が覚めてしまう
- 食欲が極端に落ちた、あるいは逆にストレスで過食してしまう
- 朝、会社に行こうとすると激しい腹痛や吐き気がする
- 集中力がガクンと落ちて、簡単な事務作業でもミスを連発する
- 理由もなく涙が出てきたり、消えてしまいたいという気持ちになる
私自身、こうした症状を「みんな辛いんだから」と無理に押し殺してしまうことが一番怖いなと感じています。早期に専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることは、あなたの今後のキャリアを長く守ることにも繋がりますよ。
20代の約4割が経験する強い不安感や無気力への対処法
「自分だけが弱いのではないか」と孤独を感じていませんか?実は、最近の調査データによれば、20代・30代の若手ビジネスパーソンの約38.5%が、五月病のような症状を経験したことがあると回答しています。つまり、3人に1人以上はあなたと同じように悩んでいるということなんです。特に、新年度の環境変化は私たちが想像している以上に脳へ大きな負担をかけます。若手社員はまだ仕事の全体像が見えず、上司とのコミュニケーションも手探りなため、常に「自分は正しく動けているのか」「周りに迷惑をかけていないか」という強い不安感に晒されやすい傾向にあります。
こうした無気力感や不安感への対処法として、まずは「自律神経を整えるセルフケア」を取り入れてみるのがいいかもしれません。最も手軽で効果的だと言われているのが、起床後30分以内に行う「朝の散歩」です。5分から15分程度、朝日を浴びながらリズムよく歩くことで、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの分泌が促されます。また、夜はスマートフォンを置いてデジタルデトックスを行い、脳をしっかりと休めるモードに切り替えることも大切です。仕事のチャット通知をオフにするだけでも、心理的なオン・オフが切り替わりやすくなりますよ。無理に「やる気を出そう」と奮い立たせるのではなく、まずは脳をリラックスさせてあげることを優先しましょう。
セロトニン活性化のポイント
朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、夜に眠気を誘うメラトニンの分泌もスムーズになります。散歩が難しい日は、カーテンを開けて5分間光を浴びるだけでも効果があると言われていますよ。
理想と現実の差が生むリアリティショックを乗り越える

入社前に思い描いていた「バリバリと働く自分」と、現実に直面している「何もできず、ミスを恐れる自分」。この大きな乖離に苦しむことを心理学用語で「リアリティショック」と呼びます。特に真面目で優秀な人ほど、「早く会社に貢献しなきゃ」「期待に応えなきゃ」という焦りが強く、その結果として理想と現実のギャップに打ちのめされてしまうことが多いんです。新入社員が五月病をきっかけに退職を考える背景には、この「自分は役に立っていない」という自己効力感の低下が深く関わっています。
でも、私からお伝えしたいのは、「新入社員が最初から完璧に動けるなんて、会社側も思っていない」ということです。今はまだ、仕事の流れを覚え、職場の雰囲気に慣れることが最大のミッションです。今の自分にできる小さなこと、例えば「電話を明るく取れた」「資料の誤字脱字を1つ直せた」といった「小さな成功体験(Small Win)」を意識的に数えてみてください。焦りから自分を追い込みすぎると、心はますます疲弊してしまいます。まずは「今日1日、遅刻せずに席に着けた」という事実だけでも、自分を褒めてあげていいんですよ。少しずつ、今の自分のペースを受け入れていくことが、この時期を乗り越える鍵になります。
休職の判断基準となる心療内科の受診と診断書の役割
朝起きてどうしても体が動かない、あるいは会社に向かう電車に乗るのが苦痛で仕方ない……。そんな極限の状態にいるとき、いきなり「辞める」という最終手段を選ぶ前に、ぜひ一度「休職」という選択肢を検討してほしいなと思います。休職は、会社との雇用関係を維持したまま、一定期間業務を離れて静養するための制度です。休職を活用するためには、多くの場合、医師による「診断書」が必要になります。診断書には「適応障害のため1ヶ月の加療を要する」といった具体的な期間と症状が記載され、これが会社に対して「今は休ませる必要がある」という客観的な証明になります。
「心療内科に行くのはハードルが高い」と感じるかもしれませんが、今の不調を我慢して働き続け、取り返しのつかないほど心を壊してしまうほうがリスクは大きいです。診断書の発行費用は、一般的なもので2,000円から5,000円程度が相場です。また、最近ではスマホで受診できるオンライン診療を導入しているクリニックもあり、予約から診断書の発行までスムーズに行えるケースも増えています。まずは専門家に自分の状態を話し、「今は休むべきタイミングなのか」というアドバイスをもらうことで、霧が晴れるように心が軽くなることもありますよ。正確な診察料や手順については、必ず各クリニックの公式サイトを確認するようにしてください。
休職期間や復職の条件は会社の就業規則によって異なります。自分の会社にどのような制度があるのか、可能であれば事前に就業規則をチェックしておくと、より安心して判断ができるようになります。
傷病手当金を受給しながら心身を回復させる休職の活用

休職を考える際に、最も不安になるのが「お金の問題」ですよね。「仕事を休んで、来月の生活費はどうなるんだろう?」という悩みは、さらに心を追い詰めてしまいます。そこで知っておいてほしいのが、健康保険から支給される「傷病手当金」という制度です。これは、病気やケガで連続して3日間休み、4日目以降も働けない状態が続く場合に、給与の約3分の2相当額が最長で1年6ヶ月間支払われるものです。新入社員であっても、健康保険に加入していれば受給できる権利があります。
この制度があるおかげで、収入がゼロになることを恐れずに、心身の回復に専念することができるんです。退職してしまうと、その後の収入が途絶える不安から無理に転職活動を急いでしまい、また同じようなミスマッチを繰り返してしまうことがよくあります。まずは休職して傷病手当金をもらいながら、しっかりと心身をリセットする。その期間に、自分が本当にやりたかったことや、無理なく働ける環境を冷静に見つめ直す。こうした「戦略的な休息」を取ることは、あなたの長い人生において決して無駄な時間にはなりません。むしろ、自分自身を守り、再起するための重要な防衛策だと言えますよ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額の目安 | 標準報酬日額の約3分の2 |
| 支給期間 | 最長で1年6ヶ月間(通算) |
| 受給の主な条件 | 医師が働けないと判断し、連続3日以上休んでいること |
新入社員が五月病で退職する際の実務手続きと注意点

休職や相談を検討してもなお、「どうしてもこの職場では続けられない」と心が決まった場合、次に考えるべきは円満かつ損をしない退職手続きです。特に失業保険や社会保険の仕組みは、知っているかいないかで大きな差が出ます。
自己都合退職でも失業保険をもらえる特定理由離職者
通常、新入社員が自己都合で退職する場合、失業保険(正式には基本手当)を受け取るための条件である「離職前2年間に12ヶ月以上の被保険者期間」を満たさないことがほとんどです。そのため、「今辞めても失業保険は1円ももらえない」と諦めてしまう人が多いのですが、実は救済措置があります。それが「特定理由離職者」という制度です。もし五月病が原因で、医師から「この職場での勤務継続は困難である」という判断がなされ、診断書などが提出できる場合、ハローワークの判断で特定理由離職者として認定される可能性があります。
特定理由離職者として認められると、被保険者期間が「離職前1年間に合計6ヶ月以上」あれば受給資格を得ることができます。新卒で4月に入社して5月や6月に辞める場合はこれでも期間が足りませんが、もし前職がある中途採用の方や、あるいは半年以上勤務した後に辞める場合は、この制度が大きな支えになります。自分が認定されるかどうかはハローワークでの個別判断になりますが、退職前に診断書を準備しておくなど、しっかりとした事前準備が大切です。不調を我慢して無理やり「一身上の都合」だけで処理してしまう前に、まずはハローワークなどの公的機関に相談してみてください。
2025年改正による失業保険の給付制限期間の変更点

これから退職を検討する皆さんに知っておいてほしい非常に重要なニュースが、2025年4月1日からの雇用保険法改正です。これまでのルールでは、自己都合で退職した場合、7日間の待機期間が終わった後、さらに2ヶ月間(以前は3ヶ月)の「給付制限期間」があり、その間は失業保険が1円も振り込まれませんでした。しかし、今回の2025年改正により、この給付制限期間が原則として1ヶ月に短縮されました。これは、早期の再就職活動を支援し、退職後の生活不安を和らげることを目的とした大きな変更です。
この改正により、退職してから約1ヶ月半程度で手当の支給が開始されるようになります。新入社員の皆さんが、不本意な環境から早期に脱却し、次のステップへ進むためのハードルがグッと下がったと言えますね。ただし、5年以内に3回以上自己都合退職を繰り返している場合などは、引き続き3ヶ月の制限が適用されるといった例外もあります。自分のケースがどうなるか、詳しい内容は厚生労働省の公式案内などを必ず確認するようにしましょう。こうした制度の追い風を味方につけて、過度に将来を悲観しすぎないようにしてくださいね。
(出典:厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律」の成立について)
2025年4月からは、自己の都合による離職であっても、給付制限が1ヶ月(教育訓練を受ける場合は解除)となるなど、労働者が新しい一歩を踏み出しやすい環境整備が進められています。
社会保険料で損をしないための退職日の決め方とコツ
退職願を出す際に意外と見落としがちなのが、「退職日を何日にするか」という実務的な判断です。ネット上ではよく「月末の前日に辞めると、その月の社会保険料が引かれないから得だよ」といった情報が流れています。確かに給与明細上の「手取り額」は増えるかもしれませんが、実はトータルで見ると損をしているケースが少なくありません。社会保険料は、「資格喪失日(退職日の翌日)」が属する月の前月分までを支払うルールになっています。
例えば、5月31日に退職した場合、資格喪失日は6月1日になります。この場合、5月分の保険料は会社と折半して支払うことになりますが、その分、将来の年金額が増えたり、5月末日まで会社の健康保険証が使えたりするメリットがあります。一方で、5月30日に退職すると、資格喪失日は5月31日となり、会社側の5月分保険料の支払義務がなくなります。一見、自分の給与から引かれないので得に思えますが、実はその5月分は自分で「国民年金」や「国民健康保険」に加入して全額自己負担で支払わなければなりません。会社負担がない分、結果的に支払う金額が大きくなってしまうことが多いんですね。退職日の設定については、自分の一時の感情だけでなく、制度の仕組みを理解して慎重に選ぶことが大切です。
| 退職日 | 資格喪失日 | 保険料の扱い | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 月末(例:5/31) | 翌月1日(6/1) | 5月分まで会社と折半 | 末日まで会社の保険が有効 |
| 月末前日(例:5/30) | 月末当日(5/31) | 4月分まで会社と折半 | 5月分は自分で国保等に加入 |
第二新卒として転職を成功させるポジティブな退職理由

五月病で早期退職してしまったとき、一番の不安は「次の面接でなんて言えばいいの?」ということではないでしょうか。履歴書に数ヶ月の職歴が残ることは避けられませんが、それをどう説明するかで面接官の印象は180度変わります。大切なのは、不満をそのまま伝えるのではなく、自分の将来に向けた「ポジティブな転換」です。「人間関係が合わなかった」「仕事が辛かった」という事実は、「自分の適性をより深く理解し、自身の強みを最大限に活かせる〇〇という環境で貢献したいと考えた」といった言葉に置き換えることができます。
現在、日本の転職市場では「第二新卒」の価値が非常に高まっています。新卒研修を終え、ビジネスマナーを身につけつつも、まだ特定の社風に染まっていない若手人材を求める企業はたくさんあります。早期退職を「失敗」と捉えるのではなく、「ミスマッチを最小限に抑え、より情熱を持って取り組める場所を見つけるための前向きな決断」と定義し直しましょう。自分がこの数ヶ月で何を学び、次の会社ではどのように貢献したいのかを誠実に語ることができれば、早期退職は決してマイナスにはなりません。むしろ、自己分析を徹底的に行った結果としての再出発だとアピールできるはずですよ。
面接で使える!言い換えのヒント
- 人間関係の悩み:「よりチームでのコミュニケーションを重視し、共通の目標に向かって切磋琢磨できる環境で力を発揮したいと考えた」
- 仕事内容のギャップ:「実務を経験する中で、自分の〇〇というスキルをより直接的にお客様の課題解決に繋げられる分野に挑戦したいという確信が持てた」
- 労働条件の不満:「心身のコンディションを整え、持続的に高いパフォーマンスを発揮しながら、長期的にキャリアを形成できる環境に身を置きたい」
早期離職後の再就職を支える求職者支援制度と職業訓練
失業保険の受給資格がない新入社員の方にとって、再出発の大きな支えとなるのが「求職者支援制度」です。これは、雇用保険を受給できない求職者が、無料の職業訓練を受けながら、ハローワークによる就職支援を受けることができる制度です。さらに、一定の世帯年収や資産の要件を満たせば、月額10万円の「職業訓練受講給付金」をもらいながら学ぶことも可能です。訓練の内容は、ITエンジニア、Webデザイン、事務、介護など非常に多岐にわたり、2ヶ月から6ヶ月の期間で新しいスキルを身につけることができます。
五月病で早期退職した場合、「自分にはまだ何のスキルもない」と自信を失っていることが多いですよね。この制度を利用して、しっかりと市場価値を高めてから次の転職に挑むのは、非常に理にかなった選択です。給付金の受給審査は通帳の残高確認などもあり厳格ですが、たとえ給付金がもらえなくても、無料で質の高い授業を受けられるだけでも大きなメリットがあります。一人で悩んで転職サイトを眺め続けるよりも、ハローワークに足を運び、同じように再出発を目指す仲間と一緒に学ぶことで、精神的な安定を取り戻せることも多いですよ。自分の住んでいる地域でどのような訓練が行われているか、まずはハローワークの窓口で気軽に相談してみてください。
新入社員が五月病で退職後の未来を拓くためのまとめ
ここまで、新入社員の皆さんが五月病に直面した際に知っておくべき知識を網羅的に解説してきました。今の苦しい状況は、決してあなたが弱いからではなく、一生懸命に環境に適応しようとした証でもあります。もし退職という道を選んだとしても、2025年の改正で失業保険が受け取りやすくなったり、第二新卒を歓迎する企業が増えていたりと、社会のセーフティネットは確実に整いつつあります。大切なのは、一人で抱え込まず、医師やハローワーク、信頼できる周囲の人に頼る勇気を持つことです。
今回の記事の重要ポイントまとめ
- 五月病の兆候が2週間続くなら、我慢せず心療内科へ相談を
- 休職を選択すれば「傷病手当金」で生活を維持しながら静養できる
- 2025年4月からの改正で、失業保険の待機期間が大幅に短縮された
- 第二新卒としての転職は、理由をポジティブに言い換えれば十分に成功する
- 「求職者支援制度」など、スキルアップしながら再起を目指す道もある
今の辛さは、より良い未来を見つけるための通過点に過ぎません。一度立ち止まり、深く深呼吸して、自分にとっての「持続可能な働き方」をゆっくりと探していきましょう。この記事が、あなたの不安を少しでも和らげる一助になれば嬉しいです。なお、本記事で紹介した各制度の具体的な受給条件や最新の法律改正内容については、必ず厚生労働省の公式サイトや、お住まいの管轄のハローワーク窓口で最終的な確認を行うようにしてくださいね。それでは、また次回の記事でお会いしましょう。あなたの新しい一歩を、心から応援しています。
